一般社団法人 西芳会は、西芳寺を支える後援団体です。ポータルサイト「into Saihoji」で西芳寺の魅力と価値を発信し、会員制度「Saihokai」を運営しています。参拝で訪れるだけでは触れられない西芳寺の姿を、オンラインコンテンツや会員向けの参拝という形で届ける。それが同法人の役割です。
「into Saihoji」の読みものが大切にしているのは、「五感を研ぎ澄まし、見えないものを見る、気づけてないことに気づく(sharpen your senses, see the invisible, and notice the unrealized)」という姿勢です。庭を守る人々への取材。苔庭の音。禅語の解説。扱うテーマは、多岐にわたります。
発信の言語は、日本語と英語。Web サイトも、現地でのご案内も、英語で統一されています。海外から訪れる方には、日本文化への関心が高い方が少なくありません。だからこそ、「西芳寺がどう伝わるか」を意識した質の高い英訳を大切にしてきました。
人に頼めば限界があり、AI に任せれば揺れる
Blue One を導入する前、英訳はすべてプロの翻訳者に依頼していました。品質には満足できる一方で、依頼先の業務量には限界があります。コストも積み上がっていく。英語にしたい文書があっても、気軽には依頼できないという課題がありました。
ただし、公開する文書を AI に任せるには条件があります。表記が揺れないことです。一般的な AI ツールでは、イギリス英語とアメリカ英語が混在する。同じ日本語が、資料の前半と後半で別の単語に訳されている。文化財の情報として世に出す以上、これは見過ごせません。
「翻訳は、すべて翻訳者の方にお願いしていました。ただ、どうしても相手の業務量には限界がありますし、コスト面でも大きくなってしまう。そこで、AI を使ってみたらどうかという話になりました。」
行政関連の書類から試し、記事の英訳へ
最初に Blue One を使ったのは、記事ではありません。行政関連の書類でした。法律に関わる硬い言葉が並ぶ文書です。日本の法令の英語版を参照しながらファクトチェックを行ったところ、訳出は正確でした。
ここから、用途はポータルサイト「into Saihoji」の記事へと広がります。西芳寺で行われた講演を記事にしたもの。庭や苔にまつわる解説。学術的な内容を含む読み物の多くは、いま Blue One が英訳を担っています。
懸念していた表記の揺れは、Blue One では起きませんでした。冒頭で選ばれた訳語が、最後の一文まで変わらない。前半と後半を見比べて確かめる、という作業が要らない。文化財を扱う文書に必要な一貫性が、最初から備わっていました。
「行政向けの書類なので、法律などの硬い言葉も含まれます。それも正しく翻訳されていました。確認作業だけで済んだのが、まずありがたかったです。」
「資料に関しては、(表記の)揺れが全然出ないんです。なので最終チェックの際に訳語を書き換える手間が省け、業務負担がかなり軽減しました。」

専門記事も、レイアウトの調整も、任せられる
「into Saihoji」の記事には、学者が西芳寺で行った講演を記事にしたものが少なくありません。苔の生態に関する専門的な解説。美術作品の名称。日英双方の専門知識がなければ、プロの翻訳家でもミスが生じやすい領域です。かつては、こうした記事こそ外部の翻訳者に依頼するしかありませんでした。いまは Blue One が訳し、担当者のファクトチェック後の修正作業負担がなくなりました。
「into Saihoji」の記事に限らず、資料の翻訳(PowerPoint)でも、修正・推敲作業を抱えていました。日本語を英語にすると、文章は長くなる傾向にあります。元の枠に収まらなくなる。文字を小さくして凌ぐ。翻訳者に短くしてもらう。翻訳の現場ではおなじみの手間です。Blue One は必要な情報を整理したうえで、枠に収まる形にまとめます。この調整作業が、ほぼ不要になりました。
また、修正をお願いする気兼ねからも、その修正に費やしていた時間からも解放され、別の業務を効率的に進められるようになりました。
「もう少し短い文章にしてほしいとお願いするのも、翻訳担当者の負担になってしまう。それが申し訳なくて。かといって自分で直せば、そのぶん時間がかかる。いまは完全に AI にお願いできるので、出力を待つ間に他の業務ができるんです。結構効率的にさせてもらってるなと思います。」
